イカシタアイツはドリフターズ    

六畳川 智人 ザ・バックマガジン編集者

回お話をいただいた「インターネットで古書探求」という企画は、私にとって非常に都合が良かった。
神戸元町の古書店「ちんき堂」でのこと。何気に古本を物色しておった私は、20年程前の少年ジャンプを見つけた。 しかし見つけたといっても、以前から探していたわけでも何でもなく、ただ目に付いたというだけのこと。けれども私、パラパラと頁を捲っておるうちに、まるで不意打ちをくらったかのごとし衝撃を受けた。

「ド、ドリフが漫画になってるやん!」

ドリフ。そう、志村けんに加藤茶といった大スターを抱えるあのドリフターズが漫画となってジャンプに連載されていたのである。ドリフ人気恐るべし・・・。私はその日から、「漫画ドリフターズ」なる、そのまんまのネーミングが最高にいかした単行本を、ずっと探しておったのであります。と、そこへこの企画。 やるしかないわな。

というわけで早速はじめましょう。いまや商売道具となった自慢のiマックを立ち上げ、インターネット検索の老舗、yahoo!にて「古本」というキーワードで検索を開始。するとズバリ「古本」のリンク集をゲット。しかし、これは幸先が良いなどと喜んでいたのも束の間、なんじゃら書店やら、書林やら、書房やら、iマックの小さなモニターから溢れ出さんばかりの古書店達を前に、私いったいどこから見ていけば良いのかさっぱり見当がつかぬ。 が、ここでウダウダしておっても仕方ない。取りあえずはトップに記載されている「3軒茶屋の2階のマンガ屋」なる頁をクリックしてみることにした。

と、そこは(というか皆そうであるが)、所謂古本屋さんが開いているホームページで、お店の入荷情報から、webマガジンに至るまで、様々なコンテンツが存在しており、それぞれになかなか興味を惹いてくる。が、いまはそんなことに構っておる暇はありませぬ。今回の目的は古書探求でありますから(決して電話代がもったいないってわけじゃないのよ)、早速、探求本なる項目をクリック。すると突然、うちの標準メールソフトであるOutlookExpressが起動し、送信先には、「3軒茶屋-」のアドレスが。成程、そういうことね。はいはい。なんかきっちりした検索システムの頁が出てくるのかと思ったのだが、まあ、これが一番手っとり早いわな。と、早速メール送信第一発目。その文面は以下の通り。

『お忙しいところ失礼いたします。私、大阪在住の六畳川というものです。私は現在、かつて週間少年ジャンプに連載されていた「漫画ドリフターズ」なる御存知ドリフ漫画の単行本をさがしております。もしそちらに在庫がございましたら、値段を記入の上、メールにて御連絡いただけませんでしょうか。何とぞよろしくお願いいたします。お返事どきどきしながら待っております。』

さあ、どうなるか。あとは待つのみ。先を急ごう。

先程がトップならば、今度は一番最後に載っている「ロード」なる頁へ行ってみましょうか。「通信販売専門店。1970年代から80年代のマンガを中心に扱う。探求本コーナーもある。メールを利用した古本の買取も行う。」などといったぶつ切りの紹介文も、目的に合致。よし、行ってみましょう。

おっ、このお店、北海道なのね。これぞインターネットの醍醐味。改めてその便利さに感心。けれど、お目当ての漫画ドリフターズが無ければ意味がない。ここはとにかく探求メールをということで、早速、先程の要領でメール送信。あとは待つばかりであります。

つづいて覗いてみたのが、「BookTownKanda」古書といえば、やっぱり神田だろうってことで選んだのだが、これが想像以上に凄い。何が凄いって 「在庫点数三〇〇万点、一〇〇〇万冊の神保町を中心とした世界一の書店街案内。」なんて書いてあるのだから桁が違う。早速「十万点の在庫案内」と銘打たれた古書検索の項目をクリック。すると今度はOutlook-が起動するわけではなく、独自の検索システム画面があらわれる。とにかく本のタイトルしかわからぬ故、書名の欄に「漫画ドリフターズ」とだけ書き込んで検索開始。が、結果は「該当するレコードが見つかりませんでした。」との切ないお言葉。ちぇっ、何が世界一だかわかったもんじゃない。と悪態をついてみるが、無いものは仕方がない。急げ急げ。

そして次に行ったのが「Bizseek」なる古本探しサービスサイト。この「Bizseek」というサイトは以前どこかで、耳にしたことがあった故、覗いてみたのであるが、要はBizseekという会社が運営するEasyseekという検索システムに、243店舗もの古本屋さんが登録されており、ここで探求書をメールすると、それが243店舗すべてに送信されるという仕組み。はっきり言ってこんな便利なものはない。と、早速探求をかけてみようとするが、まずはユーザー登録をしなければならない。実は私、こういう面倒なのは大嫌いなのである。しかしこれもお仕事とあっては仕方があるまい。ましてや、かの「漫画ドリフターズ」が見つかるやもしれぬのであるから。

登録頁はいたって簡単。名前や住所など基本事項を記入して送信。その後すぐに、Bizseekから登録確認のためのメールが届き、それをこちらで確認すれば、無事登録完了。これでEasyseek内の各種サービスを無料で受けられる様になるというわけ。まあ、多少手間はかかりますが、さっさと進めれば、時間にして五分程度のもの。これで漫画ドリフターズが見つかるのならば、屁でもない。しかしここで慌てるなかれ、これまでの工程は単に、ユーザー登録を完了させたのみ、ここから実際に探求をかけてみましょう。と、そこで、ようやく気づいたのでありますが、このサイト、探してくれるのは何も古本だけではないのでありますな。一番トップに古本なるカテゴリーがあるものの、その後には、コンピュータ・おもちゃ・音楽・映像・アンティークなどが続き、さらになんと食品・飲料まであるではありませぬか。ネットで食品というのには、かなり興味を惹かれますが、勿論、そんな暇はありませぬ。ただでさえ、ユーザー登録の間に通信料金が・・いや、皆さんの先を急げという顔が浮かんで参りますのに、個人の興味でネットサーフィンしておる場合ではありませぬ。さあ古本、なかでも漫画全般(154店舗)の項目クリック。そして現在各古本屋さんから登録されている商品1717件のなかで検索をかけてみますが、当然のように該当する商品はなし。さすれば、いよいよ探求書を登録するしかありませぬ。わかる範囲を記入し、登録ボタンをクリック。これでほら、一気に154店舗に探求をかけたことになるのだから、確かに便利であります。

そして次は、言わずとしれた紫式部。紫式部という名前はほとんどの古本屋さんが耳にしたことがあるのではないでしょうか。この紫式部と、日本の古本屋という二つのサイトに関しては、広報部より是非チェックして欲しいと言われていたのですが、いざ紫式部のサイトに行こうと思い、先のYahoo!検索による古本リンク集の中を探してみるのですが、紫式部の名がない。そこで、再びYahoo!にて、直接「紫式部」で検索をかけてみても、まったく引っ掛かってこない。さらにinfoceekやNttDirectryなど数件の検索エンジンで調べてみましたが、まったく出てくる気配なく、おい大丈夫か?と不安になりかけた時、netplazaなる検索エンジンが、ようやく紫式部の古書検索システムである、スーパー源氏を引っ掛けてくれたのみ。これはちと問題じゃないの?と思うが皆さんどうでしょう。ま、そんなことはどうでもよろしい。取りあえずスーパー源氏がひっかかってきたので、早速漫画ドリフターズを検索。しかし結果はやはり、駄目ふぅ~。

ああ、もう、いやんなってきた。だって一向に見つからないのだから。もうそろそろ最後にしようかな。ん?オヨヨ・・・。いやいや私の奇声ではない。勿論、桂三枝師匠が目の前にいるわけでもなく、これは「オヨヨ書林」そう、店名なのであります。思わずその無気力なネーミングに惹かれ、頁へ飛んでみましたが、これびっくり。意外や意外。なかなかにデザインセンスの良い頁ではありませんか。そこでさらに様々なコンテンツを一通り巡ってみると、このお店、まったくインターネットのみで御商売されているようでありますな。となると当然、皆さんにとってはそれで実際儲かっているのかというのが気になるところでありましょうが、店主の日記などを読んでみますに、果たして売上げの方もオヨヨな様でありますから御心配なく。一応オヨヨ書林独自のカタログ検索にかけてみますが、やはりだめ。これまた一応探求メールも送ってみるが、多分脈ナシなしだな。オヨヨ・・

とまあ、ここまでが探求初日の模様でありました。あれから数日たった現在。あの「漫画ドリフターズ」な、なんと、これが、まったく見つかっておりません。オヨヨ書林さんからも、ロードさんからも、御丁寧なお返事メールを戴いたのですが、いずれも現在在庫はないとのこと。ただ、ロードさんに関しては、払の知らなかった 「漫画コント55号」なる存在も教えていただき、それも含めて全力で探してみますとの嬉しいお言葉を頂戴いたしました。けれどBizseekなどの探求も含め、どれもこれもまったく反応はなし。おいおい、漫画ドリフターズってそんなに珍しいのかよ。くそう。おっ、ちょっと待てよ、、これ読んでるのって、ほとんど古書店さんですよね。皆さん、是非一度お店の在庫調べていただけませんでしょうか?お願い致します。作者名は榎本有也ということであります。ロードさん有り難う。

六畳川 智人

一九七四年生まれ。
大阪在住。
ザ・バックマガジン編集者兼ライター。

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