エッセイ集 一覧

ハイデルベルク大学図書館

更新日時:2015年09月16日
ハイデルベルク。ドイツ最古の伝統を誇る大学を擁する学生達の街。マイヤー・フェルスターが戯曲「アルト・ハイデルベルク」で青春の情熱を高らかに謳いあげた街。ヘルダーリンやマティソンら詩人達がこよなく愛し、老ゲーテが恋に落ちた街。ヘーゲルが思索に耽り、ヤスパースが学派の旗を挙げた街。そして深い緑に包まれた古城と美しい街並みとを遺すドイツ古城街道の拠点として、多くの
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言葉とがめ

更新日時:2015年09月16日
(その一) 領収書を書き「お宛名は何としましょう」と尋ねる。 「上様にしといて…。」 どうもひっかかる。いつの程から始まった商習慣か知らないが、士農工商の身分制の名残りか、便利かも知れないが、変な常套語だ。もっとも貴様(たうといきま)も蔑称であり、○○殿も官庁用語で使われてから○○様よりぞんざいな用法と見られ、人さまを呼ぶのも仲々難しい。
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伊能図と大阪船場・愛日文庫

更新日時:2015年09月16日
大阪船場に伝わる「愛日文庫」が所蔵する「伊能図」が、仙台市立博物館で展示公開された事から、新たに研究が進み、「愛日文庫」の価値が改めて注目されている。平成11年1月13日付「朝日新聞」の夕刊1面トップで大きく採り上げられた「愛日文庫」について紹介したい。 朝日新聞の見出しでは、「伊能の初地図写本に鮮やか=大阪・山片蟠桃ゆかりの小学校で確認」と大きく報じ
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古本屋は医者に似ている

更新日時:2009年10月16日
古本屋というのはつくづく妙な商売ではある。この妙さは、客との関係において、如実に表れる。 この私も仕事柄、また仕事を離れた趣味としても、毎月毎月大量の古本を買っているわけだが、本を買う度に、心から「ありがとうございます」と言いたくなり、事実、よくそう口にし、郵便局の振替用紙にもたいてい書き添えている。 しかし、時々、「ん、待てよ」と思う。金を払っ
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読むよりも買うのが楽しい古本道

更新日時:2002年01月02日
ぼくはこれまでに古本についての本を四冊(うち一冊は文庫)、文庫についての本を二冊書いている。編集・執筆としてかかわった 『ニッポン文庫大全』という大著もある。古本についての原稿依頼もけっこう多い。京都で大学生活を送っているころ、毎日のように京都、大阪の古本屋を行脚したが、まさか将来、古本のことで文章を書いて食べていけるなんて思っていなかった。今思うと、ありが
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本田蒔絵 愛のメッセージ

更新日時:2002年01月01日
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衆知されるべき 羞恥の喪失について

更新日時:2001年10月03日
60年代末から70年代にかけて、ちょっとでも自意識のある人間にとって「知らない」と言ってしまうことはとても恥ずかしいことだった。友人との話しの折に、知らないことが出てくると、「それはね…」などと適当に受け流しておいて、後で調べたり、本を捜して読んだりして、その欠落を埋めることも多かった。いかなる強迫観念に取り憑かれていたのかはっきりとしないが、また、誰もが「
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たくましい古本 ふがいない新刊

更新日時:2001年05月01日
最近たて続けに2冊の新刊を出したので、これを読んで僕のことを知った新たな読者が旧刊にも興味を示してくれ た。ありがたいことだ。 新たな読者が、僕がやっているできそこないのホームページ (断じて謙遜ではない。見てもらえばわかるが全然ダメだ) やメール、お手紙、はたまた街で「以前にお出しになった本も読みました」と書きこんだり、声をかけてくだ さる。ライター冥利
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奈良絵本 桃山期の華麗な絵本に誘われる

更新日時:2001年01月16日
マルコ・ポーロの「東方見聞録」にはジパングは文化的で物資に恵まれ、黄金は無尽蔵にあり、薔薇色と白色の真珠を多量に産し、何処にも属せず独立した国であると紹介されている。室町末期になって日本に漸く辿り着いた西欧の宣教師達は、足利義満建立の金閣寺、内部が金箔装の七重天守閣を持つ織田信長の安土城、豊臣秀吉の建立した大坂城の黄金の茶室と茶碗、金泥金箔で飾られた桃山百双
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猪飼野の司馬遼太郎

更新日時:2000年08月16日
今年のゴールデンウイーク中の或る日、新刊屋さんの店頭に平積みされていた「新聞記者司馬遼太郎」(産経新聞社刊)という本の中に、私は次のような興味ある記事を見い出した。 司馬遼太郎が終戦後、復員して来て初めて就職した会社は、大阪市生野区の猪飼野と呼ばれた地区に町工場にまじってあった”アブクのような曖昧資本の新聞”新世界新聞社であった。というのである。
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イカシタアイツはドリフターズ    

更新日時:2000年05月01日
回お話をいただいた「インターネットで古書探求」という企画は、私にとって非常に都合が良かった。 神戸元町の古書店「ちんき堂」でのこと。何気に古本を物色しておった私は、20年程前の少年ジャンプを見つけた。 しかし見つけたといっても、以前から探していたわけでも何でもなく、ただ目に付いたというだけのこと。けれども私、パラパラと頁を捲っておるうちに、まるで不意打ちを
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書を捨てに町に出よう 

更新日時:2000年01月01日
僕は本が大好きなので、本屋にはほぼ毎日のように足を運ぶ。一日に何軒もの本屋さんを覗く事だってしょっちゅうだ。当然、古本屋さんにも行く。新刊書店ほどではないが、たまに行く。捜している本がないかと棚を見る。そして目当ての本がないとわかると店を出る。つまり僕にとって古本屋とは本を捜す所(すなわち買う所)であって、本を売った事はまだない。 我が家で置き場に困る
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古本屋さんとデモの関係

更新日時:1999年05月16日
文筆家なんて明日をも知れぬ生業。そのうち手堅い職に就こう。しかし今更会社勤めも出来ぬだろうから、古本屋でもやりたいなあ…と、いつも考えます。同業と将来のことを語りあえば、皆、一様に「古本屋でも」と口にする。「古本屋をやりたいあ」ではなく、あくまで「古本屋でもやりたいなあ」。この「でも」が肝心。パイロットになりたい人は、決して「パイロットにでもなりたいなあ」と
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天牛書店 ハワイに進出する

更新日時:1999年01月16日
昨年の8月、大阪の天牛書店(本店:江坂)が、ハワイ・ホノルルに新しいお店をオープンしました。そこで、大阪古書組合広報部(クライン文庫)が天牛書店店主・天牛高志さんにお話を伺ってきました。不況の嵐の吹きまくる日本を離れて、常夏の島ハワイヘ取材と行きたいところですが、予算の関係で江坂のお店でのインタビューです。暫しの間、お楽しみ下さい。 Q.「ハワ
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国立国会図書館 ディジタル貴重書展

更新日時:1998年10月16日
開館五十周年の記念展として、国立国会図書館が六月九日から十二日間、「開館五十周年記念貴重書展」を開催した。重要文化財をはじめとする和漢洋の貴重書・準貴重書百点を館内展示したのであるが、その期間に併せて、その出展された百点全品を、電子図書館事業の一端としてインターネット上に公開した。題して「ディジタル貴重書展」。 博物館、美術館、図書館等が、所蔵品の一部
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司馬遼太郎先生をおもう

更新日時:1996年05月16日
『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶが如く』『菜の花の沖』など数多くの優れた作品を残し、国民的作家として大勢の読者に愛された司馬遼太郎先生がお亡くなりになった。 平成八年二月十二日、きらきらと輝いていた巨きな星が、消えてゆくように、七十二歳だった。 新聞に雑誌にテレビ番組に追悼特集が相次ぎ、各分野の方々が思い出を語り、畏敬の念をもって深くその急逝を惜しまれて
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天五のふるほんや

更新日時:1993年12月16日
戦前篇 ものごころついた時 そこに坂があった。坂は市電停、天神橋五丁目から南へ昇り 扇橋に降りて行く。下を梅田から天王寺へ汽車が煙を吐いて走り 坂の上を市電がポールをゆらしながら行き来していた。昭和7、8年ぐらいまでの天五の風景である。(天五とは天神橋五丁目、天六が天神橋六丁目、上六は上本町六丁目をつづめた大阪独特の云いまわし) 私は大正十二年関東大震災
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